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インタビュー 「より多くの人に商品を知ってもらうために。『地方企業×Twitter×マーケティング』のポテンシャル」 株式会社玉垣製麺所 公式Twitter 中の人

新潟県十日町市の乾麺製造企業『玉垣製麺所』。ここには社員三十名規模にも関わらず、Twitterフォロワー2万7000人の公式アカウントとして存在感を示す『中の人』がいます。最近では『新潟Twitter会』の中心的存在としても目を引く中の人に、企業公式アカウントの存在目的やその効果など、「仕事としてのTwitter」のお話をお聞きしました。

フォロワー数十人で放置されていた公式アカウントを引き継ぐ

玉垣製麺所に転職したのは二年半前の2017年2月です。Twitterの公式アカウントもあったのですが、フォロワー数18人で長らく放置されている状態でした。
弊社は『妻有そば』を代表に、うどん、そうめん、ひやむぎなどの乾麺を製造・販売しています。つまりメーカーですね。ここに入社する前は非メーカー系の企業に勤めていたので、「自社商品がある」「それを販売する」ということが初めてでした。

入社後は営業部に配属となりました。とても美味しい商品ですし、どんどん売れてほしいと思うのですが、知名度の課題はありました。新潟十日町市では家庭に親しまれている商品ですが(十日町市出身である私も幼い頃から親しんでいます)、地域を超えて幅広く認知されている状態ではありませんでした。
もっともっと売れてほしいし、そのためには知ってもらう活動をしなくてはと思ったのが公式Twitterを始めたきっかけです。

それに、妻有そばや玉垣製麺所をTwitterで検索すると意外とツイートがあったんですね。いろいろな所にファンの方はいて、商品についてツイートしてくれていました。でも、メーカーとして反応していない状態で。地方都市の特徴なのかもしれませんが、「いいものを作っていれば売れるんだ」という考えがどこかにあるような気がします。
でも、SNSが登場し、お客様と相互につながれるようになったのだから、つながるべきだし、積極的に発信してもっと知ってもらうべきです。シャープ公式さん(*)の活動などを目の当たりして、企業は同じような活動をするべきだと思いました。
(*フォロワー56.8万人の日本を代表する「中の人」)

いま話しながら気づいたのですが、「自社商品がある」という環境にも気持ちが向いていたのかもしれません。それまでメーカーが作った物やサービスを売る仕事だったので、自分からの情報発信が難しい環境でした。
メーカーの人間だからこそ、自分たちの商品を自分たちの手で発信できる。それは私にとって大きな変化だっだかもしれません。

初めは非公認で。フォロワー100人がやっとの苦しいスタート

「多くの人に妻有そばを知ってもらうためのアクションはぜったい必要だ」という考えは当初から強く持っていたのですが、なにせ転職してきたばかりですし、20代後半の若者ですし、恵まれたスタートというわけではありませんでした。
入社して半年で休眠中のアカウントを引き継いで、2017年12月に「Twitterアカウント、復活いたします」のツイートから始めました。会社からは非公認でした。笑

最初は商品情報やおすすめレシピ、日々のこと等、スタンダードなツイートをしていたのですが、反応がなかったですね。そもそも10人ちょっとのフォロワー状態で発信しても誰にも届かないんです。無人島で喋ってるようなものですから。

それでも、玉垣製麺所や妻有そばについてツイートしてくれている方が時折いらっしゃる。エゴサーチでそういった方を探してはこつこつフォローしていました。フォロワー100人になるのに3ヶ月かかりましたね。
その時期に株式会社三幸さんの公式アカウント(*)と相互フォローになりました。その後の展開を振り返るとこれは大きなターニングポイントでした。
(*サーモン塩辛・黄金ままかりなどを製造している新潟県の食品会社)

プレゼントキャンペーン、コラボキャンペーンで1万フォロワーに

コツコツと情報発信を続けていたら、三幸さんが2018年7月に商品プレゼントキャンぺーンを開催し、フォロワーが2000人を超えるなどの大きな成果を出していました。これには驚きました。
弊社もTwitterでキャンペーンを開催できるよう、その意義や方法を社内資料を作って、稟議を通してもらいました。初めてのキャンペーンです。フォロー&RTで、抽選で10名様に商品7種の詰合せプレゼントの内容で。最終RTは4000を超え、フォロワー3000人を超える成果が出ました。

こういったキャンペーンでは、もちろんプレゼント狙いの方もいらっしゃいますが、それでも「妻有そば」を知っていただく点で意味があると思います。
それに、キャンペーンでいつも以上の接触が増えると、ファンの人たちに発見してもらえ、フォローいただける効果があります。ファンの方からは「妻有そばがTwitterやってるんだ」といった驚きの声もあり、キャンペーンは「知ってもらえる機会」「ファンの方に発見してもらえる機会」の価値があると分かりました。

その後、単独キャンペーンを重ねていくうちに、大塚食品のクリスタルガイザー公式アカウントさんが様々な企業とコラボキャンペーンをやっていることを知り、おそるおそる接触しました。気さくな方でコラボを快諾いただき、2018年10月にクリスタルガイザーさんと妻有そばのコラボキャンペーンを開催しました。
この成果はすごかったですね。最終RTは9000を超え、フォロワーもとうとう1万人を超える成果が出ました。

アイデンティティーコンテンツを発見。「茹で動画」

話が前後しますが、キャンペーンを始めた時期にもうひとつターニングポイントがあって、2018年9月にそばを茹でている動画を配信しはじめたんです。
最初にどんな考えで動画を上げたのか自分でもよく分からないのですが、「妻有そばを知ってもらいたい」という気持ちはいつもありますので、なんでも試してみたのだと思います。
最初はそんなに反応があった訳ではないのですが、こつこつ続けているうちに「そばを茹でている公式アカウント」として周りの人に認知されていくようになりました。

クリスタルガイザーさんとのコラボ以降、様々なコラボを他社さんと重ねていくようになるのですが、初めましての際にも「あの茹で動画をアップしている公式さんですね」と知ってもらえていることは助かっていますね。また、購入いただいたファンの方も妻有そばの茹で動画をアップしてくれることも多く、とても嬉しいです。
今では多くの公式アカウントさんとつながりができたのですが、例えばPerrierさんアイラップさんなど、交流のある公式アカウントさんが妻有そばの茹で動画をアップしてくれるようになりました。
ふとアップした「茹で動画」がアカウントのユニークな特徴になり、様々な人をつなぐコンテンツになっていると感じています。

企業間コラボでユニークかつ多彩なキャンペーンを実施

クリスタルガイザーさんとのコラボキャンペーンでフォロワーがぐんと増えたことで、いろいろな企業の「中の人」に妻有そばの公式アカウントを認知してもらえたことも大きなポイントでした。その際に、先ほどの「茹で動画」でユニークなアカウントと思ってもらえたことも大きかったです。
さまざまな公式アカウントさんとつながれたことで、企業間のコミュニケーションが活性化し、ユニークなコラボキャンペーンが続々と生まれました。意識的でもありますが、2019年前半はとても多かったですね。おかげさまで、2018年10月に1万人だったフォロワーが、2019年2月には2万人を超えることができました。
「たくさんの人に商品を知ってもらう」ことがキャンペーンの大切な目的ですので、企業間コラボで幅広い方に知ってもらえたことはとても嬉しかったです。

コラボキャンペーン事例

2018年12月10日 販促花子とのコラボ企画
2018年12月17日 アイラップとのコラボ企画
2019年01月11日  RIZAPとのコラボ企画
2019年02月02日 販促花子・チャンピオンカレーとのコラボ企画
2019年02月18日 こてっちゃんとのコラボ企画
2019年03月13日 コロンバンのコラボ企画

フォロワーが増えるに比例して、フォロワーさんや公式アカウントさんとの会話も増えますので、2万人を超えたくらいからコラボ企画は少し控えることにしました。
公式アカウント同士のやりとりを楽しんでくださっているフォロワーさんもいらっしゃいますので、他企業をフォローしている方が、公式同士の会話をきっかけに妻有そばを知っていただいたり、購入いただく機会も生まれています。
Twitterをきっかけとした新規購入のお客様も増えてきました。東京などの催事で「Twitterを見ました」と販売所に訪れてくれる方が一日に何人もいらっしゃってとても嬉しいです。

『地方企業×Twitter×マーケティング』を形に。#新潟Twitter会

新潟Twitter会は新潟企業の公式アカウントが名乗っている名称で、現在は28社です。
そもそもは2018年春くらいに公式アカウント8~9社が集まってオフ会をしたのがきっかけでした。その頃はお互いにフォロワーが100人程でしたね。メンバーが集まって開催する流しそうめんや瓦わり大会といったTwitterの外で行うイベントも2019年になってから始まりました。
情報の共有やキャンペーンの拡散など互いに協力しあっていますので、新潟という地方都市で一社単独の力ではなかなか難しいところへ辿り着くために大切な存在です。
よく、メンバー同士がTwitterでゆるい会話をしているので遊んでいるように見えたりもするのですが、自社の製品やサービスを知ってもらいたいという気持ちが前提にあります。「会社に貢献するものとしてTwitterをしている」ことがメンバーの強い共通点だと思います。

また、三幸公式アカウントさんと長いつきあいなのですが、スタート当初から今に到るまで、いわゆる相方のような公式アカウントがいてくれることはとても助かっています。一人では難しいことも、皆でやるから楽しみながら続けることができると思います。

業務に直接つながらなかったとしても、新潟の観光やイベントなどの情報発信を通して、新潟に来て楽しんでほしいという気持ちも皆で共通していますね。
今年の7月にペリエ公式さんが大量のペリエを新潟Twitter会に送ってくれる出来事がありましたが、そんな風にいろいろな企業の方、いろいろな地域の方と、出会えたり、つながれたりするのも公式アカウントや新潟Twitter会の大きな意味だと思います。

自分にとっての公式アカウントとは

「これは仕事である」「会社に貢献しないと運用する意味がない」という気持ちは強く持っています。ただ、このツイートをしたら幾ら売れたとか、そういうことではないと思っています。
「妻有そばを知ってもらうこと」「できたら興味を持ってもらうこと」「ファンの方たちとつながること」。Twitterを通して、それを具現化することが自分の仕事だと思います。

十日町市の人口5万人を超えるアカウントが当面の目標です。もちろん、何度もくじけるんですけど。くじけながらやっています。
あと、やっぱり自分はこの『妻有そば』という商品がとても好きなんですね。大好きです。一番のファンだと思っています。だから、「もっと知ってほしい!」という気持ちが公式アカウントを続ける一番の根っこなんだと思います。

プロフィール

株式会社玉垣製麺所 公式Twitter 中の人 |

株式会社玉垣製麺所

布のりをつなぎに使った『へぎそば』の乾麺、新潟県十日町名産『妻有そば(つまりそば)』を製造・販売している株式会社玉垣製麺所(新潟県十日町市)の営業部所属。十日町市出身。二社の勤務経験を経て、玉垣製麺所へ。営業活動を行いつつ、Twitter、Facebook、Instagramの公式アカウントを担当。新潟企業の公式アカウントが集う『#新潟Twitter会』の中心的存在。玉垣製麺所では妻有そばの他、うどん、そうめん、ひやむぎなども製造している。
公式サイト

記事を書いた人

インタビュー・ライティング

稲田英資

株式会社JBNで戦略策定を担当。BtoB企業のWeb活用に強い興味・関心がある。

インタビュー・撮影

坂田大輔 |

株式会社JBNでディレクター。SBWを総合プロデュース