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インタビュー「ネット広告施策は小さくスタート。KPIを定めて小さな成功を喜ぼう。」株式会社PROPO 中尾豊氏

福井県を拠点に中小企業のweb活用、特にインターネット広告を用いたweb活用で多くの成果を出してきた中尾豊さん。web活用やネット広告の活用について企業はどんなスタンスで望むべきか、パートナーとしてどんな会社を選べばよいか、幅広い視点でお話をお聞きしました。

ネット広告は短期的な成果のために効果的

企業のweb活用において、目標をブランディングや知名度向上として掲げることがあります。これらの施策は、戦略から考えて実行まで1年以上かかる。短期間で成果を出さねばならない場合は、インターネット広告を活用した引き合い獲得に目標を設定します。
以前、福井県内のB to B業態の製造業から依頼があり「自社で新しくB to C向けに製品を開発したので、ネットショップを構築して売りたい」という話をもらったのです。でも、売れるかどうかもわからない、認知もされていない商品をネットで売るってなかなか難しいですよね?それで提案したのは、B to Bの既存業態での引き合い獲得です。ランディングページとネット広告を提案しました。その結果、これまで本社サイトは年間2、3件の問い合わせしか来なかったのですが、ランディングページを公開した直後に毎日問い合わせが来るようになり、結果としてネット経由で高額な受注につながりました。はじめはインターネット広告に懐疑的だったクライアントにご納得いただけました。

地域の企業が求めているのはこのようなスピード感ではないでしょうか?スピードを考えるとインターネット広告ってとても重要なんですけど、広告を嫌がる企業の方やインターネット広告が無くても成果が出ると考える方、ブランディングや知名度向上施策を優先される方がまだまだ多い印象です。時間や予算が十分に確保できるならゆっくり時間をかけた施策も良いですが、一方で企業の現状をお聞きする中で、そんな悠長なことはやってられないのでは?とも感じます。自然検索やSEOにも広告は良い影響を与えますしね。

ネット広告施策は小さくスタートすることが大事

インターネット広告をはじめるのであれば、ざっくりターゲットを決め、こんな広告でこんな施策をやってみようぐらいの気持ちで少額からスタートしたら良いと思います。重要なのはちっちゃく始めて結果をしっかり見ること。100%準備してからはじめるというのはありえないので、ちょっとやってみるということが大切なんです。うまくいかなければ、うまくいかなったという事実が残りますから。それをもとに改善していけばいい。ペルソナだなんだといって、こねくり回してリリースが遅くなるんだったら早くスタートしたほうがいいと思います。小さな施策を同時進行で複数行って結果を見る。企業の中にこの「ちっちゃくはじめる」という文化が根付くことが大事だと思います。

ゼロイチでの判断がweb活用やインターネット広告の運用を難しくする

ネット広告を含めたweb活用を行う際に、経営者が売れたか売れないかゼロイチで判断してしまうことの難しさがあります。限りなく“イチ"に近づいているのにその経過を見ない。商品が最初から売れるなんてことなかなか無いじゃないですか。だから売れるまでのステップで細かなKPIを設定してちょっとの伸びをメンバーが喜ぶことが大事なのです。例えば「今回の施策では集客数が上がったね」「詳細ページまで多くの人がたどり着いた、惜しい!」というふうに。施策に対して売れるか売れないかで判断したら、そりゃすぐには売れませんよ。経営者の方はせっかちの方が多いので、まずは「ゼロか?イチか?」の考え方を変えてもらうことも大事です。

まだまだある企業のweb活用を阻害する要因

その他にも企業のweb活用を阻害する要因はあります。ひとつはコンサルタントとのミスマッチの問題。福井でも成果のためにコンサルタントと契約している企業があります。これがなかなかうまくいっていない。「本を出している」とか「全国でセミナーやっている」とかそれは関係ないんですよね。マッチングの問題です。高いお金を払えばなんとかなるという問題じゃないんですよね。コンサルタントの中には過去の成功体験から脱却できずに、女性向けの商材なのにGoogleの検索連動型広告にこだわってしまうようなコンサルタントもいます。または、時代はコンテンツだといってブログを書かせる。そりゃ書けば流入は増えますよ、けどこれに対して何の分析もしない。ターゲットに合わせた最適な施策って何だろう?ってとこから始めなきゃいけないのに、ポジショントークで顧客を巻き込んでしまうんですね。

web制作会社にも問題があります。制作会社はキャッシュポイントが制作なので「サイトを作ること」にクローズアップしがち。成果を出すための知見が足りない会社も多い。公開後の運用フェイズで定額契約費用をもらっているのにも関わらずKPIを決めないでだらだらやっている。顧客側は「制作会社がいるから、いざというとき助かるよね。」、制作会社は「お金をいただけているからいいよね。」と“いいねいいね”で関係を続けている。これはどちらも悪い。期限を決めて何を達成するか決める、成果に近づいていたら再契約するという状況に持っていかないとお互いピリッとしないだろうと思うわけです。もしも知見が足りなければ、お客さんと一緒になって施策を打ちながら勉強していけばいいだけなんですけどね。

コンサルタントや制作会社の選び方

コンサルタントも制作会社もしっかりやっている人や会社はたくさんいます。でもそういう人って忙しいので積極的に情報発信をしていないことも多いです。なので、自分から情報を取りにいく必要があります。ソーシャルメディアでどういう情報を提供しているのか?成果についてどういう考えを持っているのか?自分の会社の規模感やスピード感と合うのか?こういったことについて理解し見極めることが大切です。セミナーや著作があることや、公共機関からお墨付きをもらっているということで決めてはいけません。自社とのマッチングについてよく検討することが大切です。ちなみに、ゴリゴリ営業してくるコンサルタントや制作会社はアウトです。

企業担当者はもちろん、コンサルタントや制作会社を育てたい

今後の私のミッションは、これまでの成功体験をもとにインターネット広告の運用の仕方や成果の出し方について多くの人にセミナーやウェビナー、動画配信などを通じて積極的にノウハウを伝えていきたいと思っています。web活用に関して誤解している、うまくいっていない人がまだまだたくさんいらっしゃるのでまずはそこを引き上げる。成功体験があれば人は成長します。自分にとっては今がボーナスステージ※。感謝を還元する時間だと思っています。「あいつのセミナー面白い」「中尾に教えてもらったことを実行してうまくいっています。」という感想を聞けることを楽しみに、これからも活動していきます。

※2016年に急性大動脈解離、2018年に脳梗塞を経験、失語症に。現在は奇跡的に回復。(5年後の生存率60%)

プロフィール

中尾 豊 氏

中尾 豊 氏 |

株式会社PROPO 代表

株式会社PROPO代表。福井県福井市出身。インターネット広告運用を基本に、webコンサルティングを行っている。著書に「Google Adwordsで集客・売上をアップする方法」「儲かる検索キーワードの見つけ方講座」(ともにソーテック社) 。実績としてLP経由で5億の売上(製造業)や1年で3000万の売上を獲得(士業)登壇実績多数。
公式サイト

記事を書いた人

インタビュー・ライティング

坂田大輔 |

株式会社JBNでディレクター。SBWを総合プロデュース。

撮影

大沢夏海 |

長野市でライブハウスを運営する傍ら、デザイン、イラスト、撮影など幅広く活動